人生は競馬と共に

中央競馬の新馬戦・重賞を中心に、競馬について気ままに書いていきます。

第154回天皇賞(秋) 回顧 騎手の力を痛感させられたレース

こんにちは。

 

※一部数字の誤りを訂正いたしました。失礼いたしました(11月1日午後4時44分)

 

今年の天皇賞(秋)は、1番人気に支持された昨年の年度代表馬モーリスが快勝しました。

このレース、改めて「騎手の力」の重要性を、というよりムーア騎手の恐ろしさを思い知らされました。

 

「エイシンヒカリが刻んだ1000m60.8秒のスローペースを、中団やや前で追走し、直線で外に持ち出すと末脚が爆発、早め先頭から押し切り、1番人気に応えて圧勝した。」

 

 

こうして文章にしてしまうと「あ、そうだったんだ。」と流してしまいそうですが、冷静に考えると信じられない事をやってのけています。

いわゆるマイラーが2000m以上のレースで負けるとき、その原因は「走る距離」そのものよりもむしろ、「ペースの違い」であることが多いと、私は考えています。

血統的に中距離でも全く問題なかったとしても、気性が激しいために短距離の速い流れの方が折り合いが付けやすいためにマイル以下のレースを使うような場合です。

 

そして、モーリスは典型的なそのタイプだと思います。海外帰りの影響もあったのかもしれませんが、600m35.0秒の流れを掛かり気味に2番手で追走した安田記念が良い例でしょう。

前走の札幌記念、モーリスは前半行きたがるのを抑えて、中団後方から折り合いに専念したレースを進めました。

当時騎乗していたモレイラも相当な名手ですが、それが当然の選択だと思われます。

 

しかし、このレースでムーア騎手は、スタート直後から積極的にポジションを取りに行き、そこで600m36.9秒、1000m1分0秒8のスローペースの中しっかりと折り合いをつけています。

馬の能力を信じ、自分の騎乗技術にも自信が無ければとてもこんな芸当は出来ません。

さらに、今までマイルまでしか勝ち鞍のないモーリスを、長い府中の直線で早めに先頭に立たせ、最後まで持たせるのですからこれは信じられません。

当然、それに応えたモーリスの能力があればこそですが、馬のポテンシャルを最大限に引き出す、素晴らしい騎乗でした。

 

 

それでは改めて、全馬の着順です。

 

 

 

 

 

こちらの予想記事でも書いたように、このレース最初のポイントはスタートから最初のコーナーにかけたポジション争いでした。

 

かなり注目して見ていましたが、スタート直後エイシンヒカリはやや押しながら先行して行きます。これはちょっと意外でしたが、武豊騎手もこの枠では逃げなければ可能性が無いと考えたのでしょうか。

もしくは、「今日は大人しすぎた」とコメントしていたように、いつもより行きっぷりが良くなかったのか。

 

その後ろにはロゴタイプと外からヤマカツエースが上がってきますが、エイシンヒカリが行く構えを見せたこともあり、無理には競りかけません。

昨年逃げたクラレントは行きたくても行けなかった感じでエイシンヒカリの後ろに馬を誘導。

個人的にちょっと注目していたアンビシャスはスタート直後から下げて全く行く気は無かったようですね。

 

 

一方モーリスは、スタート直後に左右にフラフラしてしまったものの、ロスを最低限に抑えると先行態勢を取ると、2コーナーに入っていくところでかなり強引に内に切れ込み、サトノノブレスのシュタルケ騎手は一瞬立ち上がるような不利を受けます。

この辺りで4~5番手の位置を取ると、ここからムーア騎手は折り合いを付けていきます。結果的に、ここでほぼほぼ勝負あったのかなと思います。

 

 

向こう正面入ったところでは外からラブリーデイが上がって行き、エイシンヒカリをぴったりマークする形になります。

これも驚きましたね。この時点で既にペースは落ち着きかけており、大外枠で前に壁の作れないルメール騎手は2番手の位置を取ってしまった方が良いと判断したのでしょう。

 

前4頭(エイシンヒカリ、ラブリーデイ、ロゴタイプ、ヤマカツエース)の後ろにクラレント、サトノクラウン、モーリス。モーリスはこの時点で5番手の一番外、しっかりと折り合って走っています。何度も言いますが、本当に信じられません。

 

その後ろが内サトノノブレス、外リアルスティール、差が無くその真ん中にアドマイヤデウス。

さらに後ろ、カムフィーの外にルージュバック、その後ろにつけたステファノス、その内並ぶようにアンビシャス、最後方にヒストリカル。

 

 

私が本命にしたステファノスは、外から2番目の14番枠から、2コーナーで上手くインコースに馬を誘導し、ルージュバックの後ろにつけることが出来ました。

ルージュバックのポジションが下がってしまったために想定よりは後ろになってしまったかもしれませんが、この枠から前に馬を置いて脚を溜める競馬が出来たのですから上出来でしょう。

 

アンビシャスはさすが横山典騎手ですね。調教師がルメールみたいに後ろから行けって言うから、ポツンでもしてやるよ、そう言っているような気さえしました。

ヒストリカルがいたのでポツンは失敗しましたが(笑)。

 

 

レースは淡々と流れて1000mは1.00.8、ここ2年と同じように、スローで流れます。

大きな動きが無いまま4コーナーを回り、エイシンヒカリは内があまり伸びない馬場を考慮してか2~3頭分くらい開けたところを通りますが、外からラブリーデイに早めに並びかけられ、ロゴタイプも迫ってきて苦しい展開に。

 

一方、モーリスは直線かなり早い段階で先頭に並びかけ、外に逃げるようにしながら残り400mくらいの地点では一気に先頭に立ちます。

エイシンヒカリが開けた内を狙ってアンビシャスも伸びてきます。

 

リアルスティールも外から(と言っても外に膨らんだモーリスよりも内になりますが。。。)猛然と追い込んできますが、残り200mくらいからモーリスがさらに一伸び、1馬身以上の差をキープしたままゴール、とにかく強い競馬でした。

 

 

ステファノスはリアルスティールの後ろ、さらに外を回して同じくらいの位置から追い込んで来ましたが、リアルスティールには伸び負けした印象で3着は何とか確保。

リアルスティールとは微妙な位置取りの差もあったでしょうか。

正直、毎日王冠をスキップしたことで調教内容は良くなってきたものの、休み明けで気性的に難しいイメージのあるこの馬をテン乗りで2着に持ってきたデムーロ騎手にも驚かされました。

 

あとは、内から良く伸びたアンビシャス、粘りこんだロゴタイプ、後方から伸びてきたアドマイヤデウス、さらにルージュバック辺りまで差が無くゴール。

1着と2着、2着と3着、さらに3着と4着はそれぞれ1馬身以上の明確な差がついたレースとなりました。

 

 

私が対抗にしたルージュバックにとっては、悔しいレースになってしまいました。

直線に入って、リアルスティールのデムーロ騎手ににかなり露骨に押し込められて全く進路が取れず、残り300mくらいでようやく前が空いても、再度リアルスティールにカットされてしまいます。

最後は4着争いによく加わってきていただけに、スムーズなら3着はあったと思います。

 

それでも3着が精一杯だったと感じるくらい、上位2頭は抜けていました。

馬の能力を最大限に発揮させたムーアとデムーロの騎乗はお見事としか言いようが無く、終わってみればまた外国人騎手のワン・ツーです。。。

スローで流れたにも関わらず差しが決まるのもここ数年の天皇賞秋と同様の傾向ですが、これもラブリーデイのルメール騎手がエイシンヒカリをマークして気分良く走らせなかった影響もあるかもしれませんね。

予想的にも惨敗でした・・・。

 

 

土曜日の重賞レースの展望は、別記事に回したいと思います。

 

 

本日も、最後までお読み頂きありがとうございました。