人生は競馬と共に

中央競馬の新馬戦・重賞を中心に、競馬について気ままに書いていきます。

【雑談記事】JRAの海外競馬発売「削減」が愚策と感じる5つの理由について。

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こんばんは、umassyです。

本当は他の事を書く予定だったのですが・・・

news.netkeiba.com

どうしてもこの記事について・・・
普段からJRA批判ばかりしている私ですが(笑)、正直ここまでの気持ちでブログを書きたいと思ったのは初めてかもしれません。

出来る限り冷静に書きたいと思いますし、そもそもこんな話はあまりすべきではないのかもしれないのですが。
競馬を愛する1人のファンとして、どうしても抑えきれませんでした。

今日ツイートしたのは現地の記者さんが書いた記事で、これをショッキングなニュースとして紹介しているんですね。
宜しければ是非全文お読みいただきたいですが、

メルボルン・レーシング・クラブのコメントとして「JRAのこの決定は、両レース(メルボルンカップとコーフィールドカップ)の国際的価値に対する彼らの見解を示すものだと思う」、「過去6年で2頭の日本馬が優勝している状況で、日本でもコーフィールドカップの知名度が上がっていると思っていただけに非常に残念だ」と紹介していて、なんだか切なくなりますね。。。

日本から入る約5%の収入が期待できなくなるのも残念だと書かれていますが、それはJRAから一方的に「契約解除」を言い渡されたら、オーストラリア側も戸惑いますよね。

タイトルにも書いてしまった通り、これはハッキリ「愚策」だと思っていますが、その理由について書いていきたいと思います。

※所々英語を訳していますが、かなりざっくりなのでニュアンスだけお汲み取り下さいませ🙇‍♂️

まずは、海外競馬発売の歴史について軽くおさらいを。

JRAのHPにも記載がありますが、「競馬法(昭和23年法律第158号)第3条の2第1項の規定」というのが海外競馬について定めた部分。
2015年5月の競馬法改正で解禁となりました。

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なんか上からなのが微妙に面白いですが、黄色マーカー部分がその「規定」ですね。
『(JRAが)指定することができる』ということで、あらかじめJRAが馬券を売れると指定したレースに限って、馬券を発売することができます。

逆に言うと、予め指定されていないと、例え日本馬が出走する場合でも馬券の発売はできません。
また、仮に指定のレースに日本馬が出走する場合であっても、馬券を発売するとは限りません(『できる』規程ですので)。


そして、改正競馬法施行の翌年、2016年の凱旋門賞で記念すべき初の海外馬券発売。
スポナビブログ時代の記事を移行してきたものなので見辛いですが、ちょうどこのブログを始めた直後でしたね。

ここで41億円という驚異的な売上を記録した後も、第2弾メルボルンカップ(😲!)、第3弾ブリーダーズカップフィリ―&メアターフと順調に売り上げを重ね、対象レースも当初の24レースから徐々に増加、していたと記憶しています。
(細かい履歴をJRAのHPで遡ることができませんでしたが、「削減」された記憶は無いですね。)


対象レースだけではなく、近年は日本馬が(裏の事情としてはノーザン系の使い分け問題等もありますが)積極的に海外遠征して結果も出している中、実際に発売されたレース数も2016年から7レース→10レース→13レース→21レースと右肩上がり。
この流れは今後、さらに加速することは合っても後退することは無いだろう、そう思っていたのですが。。。

今回の「削減」が愚策だと思う5つの理由について。

1. 「後退」の事実自体がネガティブだから。

まずこれは大前提として、ですね。

今回、「4増5減」で差し引き1レース減るだけ、もしかしたら売上的には上がるかもしれないなんていうのはどうでも良いお話し。 
上述したように、2016年以降1歩ずつ歩を進めてきた海外馬券発売というJRAの取組みがその歩みを止めてしまう、後退してしまうことそのものがやはりネガティブな要素ですよね。
 
今回、一番お伝えしたいのはオーストラリアの「カップ」を削減するのは反対だということなのですが、そもそも販売「できる」対象を狭める方向に変える意義が分からないです。
(今回は触れませんが、馬券発売の対象となる日本馬にも制約が設けられて、今回の施策が『縮小方向』であることは疑いを挟みません。)

2.  海外の競馬文化に触れる機会を失ってしまうから。

あえて、これを上位に持ってきました。

こちらは昨年のケンタッキーダービーの予想記事ですが、

その名の通り、ケンタッキー州のルイヴィルという非常に小さい(らしい)町の競馬場で開催される、アメリカ3冠レースの緒戦。

当日、場内で売られているミント・ジュレップ(ミントの入ったバーボンベースのロングカクテルですね)を飲んで。
馬場入場時に"My Old Kentucky Home"を合唱して。

「スポーツの最も偉大な2分間」とも形容されるそのレースをいつか現地で見たいなぁというのは、競馬を始めたころから夢見ていることでもあります。

【重賞予想】ケンタッキーダービー2019の予想 馬券は難しそうですが。 - 人生は競馬と共に

競馬というのは、もちろんギャンブルの側面が大きいですし、競馬の本質はギャンブルであるというのは私の持論でもあります。

ただ、それだけではない部分が競馬を人生を賭けて楽しむことができる趣味たらしめているとも思っていて。
その1つが各国で歴史を重ねることによって醸成される文化としての側面。 

ケンタッキーダービーの馬券が発売されるからこそ、我々日本の競馬ファンはグリーンチャンネルの画面を通してその文化に触れることができるのであり、国を挙げてお祭りとして楽しむオーストラリア競馬の祭典、メルボルン・カップにしても同様です。


もちろん、馬券が発売されなくてもそうした知識を得ることは可能ですし、逆に馬券が発売されたとしてもそんなことはどうでも良いという方もいらっしゃるでしょうが・・・やっぱり勿体ない話だなぁと思うのですよね。

3.  売上をアップするための機会が減ってしまうから。

これはそのまんま。

オーストラリアへの日本馬の遠征は、恐らく今年増えると思います。
現地のメディアで、メルボルンカップへの日本からの問い合わせが増えている、矢作調教師も今年はラヴズオンリーユーで連覇できれば、という話も出ているという報道があったほど。

発売可能レースとして指定しておけば発売が実現する可能性は高い状況で、対象から外してしまう。。。
日本では平日の昼間だったりして売上が少ないのかもしれませんが、それでもそれなりの売上は上がるはずで、機会損失につながるだろうことは明白ですよね。

4.  海外競馬サークルとの結びつきが弱まってしまうから。

これも結構大きいと思うのですよね・・・

冒頭で紹介した記事でも、JRAが売り上げた5%が(多分)主催者サイドに入るという事で、恐らくまずこれが結構大きいのではないかと思います。
当然、主催者としても日本馬に来て欲しいというインセンティブが働きますし、日本馬が積極的に遠征するようになれば、当然ながらヒト・モノ・カネの交流が活発になります。


上述した「競馬文化」に触れる事とも少しリンクしますが、今回馬券発売対象から外されてしまうことによって、ここ数年築いてきた日豪競馬サークルの関係性が一歩後退してしまうような、一度架けられたと感じた橋が壊されてしまうような。。。
向こうからしたら、そんな気持ちにさせられてしまうのではないでしょうか。

この記事の最後にそれを如実に示すあるツイートを載せています。

 

5.  日本から馬券で応援することが出来なくなってしまうから。

これも当たり前のお話しですね。

海外馬券が発売されたとき、どうしても日本馬絡みのオッズが過剰人気になってしまうため、あえて「逆バリ」で妙味を追い求める競馬ファンも多いと思います。

私もそうすることがありますが、そもそも過剰人気になってしまうのはみんな馬券でも日本馬を応援したいという気持ちがあるから。
ギャンブルとして経済合理性だけを追い求めるなら、そもそも日本馬が売れるのおかしいんですよね。


馬券を買わずに純粋に応援すればいいじゃないかと言われたらそれまでではあるのですが・・・
いつも言っているように、「馬券を買って参加する」というのは我々競馬ファンが唯一できる競馬界への貢献。
ましてや、海外馬券なら現地の主催者サイドにもお金が回るわけですから。

ここでも、ギャンブルとしての側面「だけ」ではない競馬の楽しみ方を奪われているような気がしてなりません。

 

削減することによるメリットについても考えてみました。

ここまで、馬券発売を縮小するデメリットばかり書いてきましたが、当然JRA様にも何か考えがあって、こうした決断に踏み切ったのでしょう。
私なりに、「今回の決断に至った理由」を3つほど考えてみました。

  • 売上が少ない(利益率が低い)商品を排除する事ができる。
  • 頭数が多い、エマージェンシー(補欠馬の繰り上がり)制度などがあってコスト(手間)がかかる商品を排除する事ができる。
  • 海外発売が増えたことによって受ける(かもしれない)批判の目を、対象レース数を減らすことで和らげることができる。

かなり捻りだしましたが・・・3つ目の理由ももしかしたらあるのかもしれませんね。
「ギャンブルの総量が増えるような取り組みはけしからん」みたいな声が野党又は与党内部にあるのかどうか、私は知りませんし知りたいとも思いませんが。


去年まで実際に発売していた以上、技術的な問題である可能性は皆無ですから、実際こんなところなのだと思います。

簡単に言えば、「面倒で費用対効果が低いレースは外しちゃおう」ということですね。

非常に長い記事になってしまいましたが、最後に私がフォローしているオーストラリアの競馬メディア、"Racing.com"のツイートを紹介させて頂きたいと思います。


「"Cups (コーフィールドカップ・メルボルンカップ)"が(賭けの)販売リストから外れてしまっても、ムーニーバレー・レーシング・クラブは日本とのつながりを強化していきたいと切に願っています。」

 

これを見たJRAは、何を思いますでしょうか。

~ ☆ ~ ☆ ~ ☆ ~ ☆ ~ ☆ ~ ☆ ~ ☆ ~

非常に長くなってしまいました。
馬券にも予想にも関係のない話でしたが、最後までお付きたい頂いた方、誠に有難うございました。

明日は通常通り、(できれば)夜のうちに新馬戦と障害戦(トラストが出ます!!)の予想記事をアップしたいと思います。