人生は競馬と共に

中央競馬の新馬戦・重賞を中心に、競馬について気ままに書いていきます。

【回顧】第58宝塚記念 狙い済ました勝利のサトノクラウン、データを覆せなかったキタサンブラック。

こんにちは。

 

1日あいてしまいましたが、宝塚記念を回顧していきます。

サトノクラウンが香港昨秋の香港ヴァーズに続いて「大物喰い」を果たした一方で、キタサンブラックがまさかの9着大敗というショックの大きなレースでした。

 

 

 

 

 

 

まずは、全馬の着順・着差です。

今まで、散々データや常識を打ち破ってきたキタサンブラックと武豊騎手のコンビでしたが、展望記事でご紹介した、「過去10年間、天皇賞(春)→宝塚記念を連勝した馬はいない」というデータを覆すことはできず、何とダービー以来の馬券外、しかも11頭立ての9着と惨敗してしまいました。

 

(※6/28 記載を訂正させて頂きました。ご指摘ありがとうございました。)

 

さっそく、スタートから振り返りたいと思います。

 

シャケトラが若干バランスを崩しながらのスタートになった他は横一線のスタートを切った今年の宝塚記念。

その直後から異変が起きたといっても言い過ぎではないと思います。

 

今までならばすっと先手を取り、他にハナを主張する馬がいれば行かせて、いなければ自分が主導権を取ってレースを進めてきた⑩キタサンブラックが、前に進んでいかなかったのです。

スタートして約200m、内から④クラリティシチー、⑤シュヴァルグラン、⑥シャケトラあたりが先行体勢を取りますが、無理に押したり促している様子は見受けられません。

外からこれらを交わしてキタサンブラックが主導権を握るものと思っていたのですが、モタモタしている間にシュヴァルグランとシャケトラが前に出てコーナーに入ってしまいます。

 

レースラップを見ると、2ハロン目、登り坂にかかるところで11.1秒という速いラップが刻まれていて、この地点では2頭にキタサンブラックのハナを叩いてやろうという意思が産まれていたのかもしれません。

(スタート直後の動きを見る限り、シャケトラは今日は前に行きたいというのはあったと思いますが、始めからこの展開を狙っていたとはさすがに思えません。)

 

個人的にスタートに注目していた②ゴールドアクターですが、逃げるのではなく、すぐに外目に持ち出してキタサンブラックをマークするような位置で進める作戦に出ます。

同じように、キタサンブラックをマークするポジションに⑪サトノクラウンで、これは予想通り。

 

他の有力馬、⑧ミッキークイーンは後ろから3番手当たり、⑦レインボーラインは後ろから2番手辺りで折り合いに専念。

これも予想通りです。

 

それにしても驚いたのはシュヴァルグランです。

馬場がそこまで悪くならなかったのもあるかとは思いますが、まさかやや重の馬場、中距離のレースでハナに立つようなレースが出来るとは想像できませんでした。

まさか逃げることになるとは福永騎手も思っていなかったと思うのですが、この競馬ができたことは、秋以降に向けて明るい材料と思います。

同じことはシャケトラにも言えるでしょうね。

個人的に、成長著しいこの2頭には秋競馬の主役になって欲しいと思っています。

 

一方、キタサンブラックに関しては、1コーナーから向こう正面入り口にかけて、「掛かる」と言う表現とはちょっと違う気もしますが、コンビの息が合っていないようなシーンも見受けられました。

いつものように武豊騎手とキタサンブラックのコンビが主導権を握るレースとは明らかに異質な流れとなっていて、この時点でキタサンブラックはダメっぽい空気が流れていましたね。

 

結局、キタサンブラックはシュヴァルグランとシャケトラに続いて3番手で向こう正面に入りますが、3コーナーに向けて通常ならレースが落ち着くところで、第2の「事件」が起こります。

外からスルスルとデムーロ騎手のサトノクラウンが上がっていき、キタサンブラックに並びかけに行きます。

 

この動きに呼応するように前3頭がややペースアップすると、デムーロ騎手は再び馬を下げて中団に。

一度先頭を突っつきに行って、自分はもう一度控えるという、以前私が「ルメール・スペシャル」と呼んだような動きを見せてます。

 

有馬記念の時のサトノノブレスは、意図的に同一馬主のサトノダイヤモンドをアシストするためにキタサンを突っついたのかもしれませんが、今回は厩舎も馬主も出走他馬とは異なります。

生産牧場が同じノーザンファームということで、チームプレー的なものがあったのではないかという声も多く聞かれ、この点に関してそんなことが可能なのか、私には分かりません。

 

ただ、「ノーザンF包囲網」という言葉が浮かんでくるような、そんな一連の動きでしたね。

これによってキタサンブラックを含めた先行各馬は苦しくなったことだけは、間違いないと思います。

 

3コーナーから4コーナーにかけても全くペースが緩まい展開の中、シュヴァルグランは早々に厳しくなり、4コーナー出口ではシャケトラが先頭に踊り出て、キタサンブラックがこれに続きます。

ただ、言うまでも無くキタサンブラックはここから切れ味で勝負するタイプではありません。

 

先頭に並びかけるところまで行かず、全く伸びない苦しい走り。

場内がどよめく中、ラスト200m地点で、これらを外から一気に交わしてサトノクラウンが先頭に、内からはいつのまにか進出してきていたゴールドアクターも伸びてきます。

 

 

結局、最後まで力強く走り抜けたサトノクラウンが嬉しい国内GⅠ初勝利。

2着も復活と呼んで良いでしょう、ゴールドアクターで、3着は後方から良く追い込んだミッキークイーン。

 

シャケトラも消耗戦の中良く粘って4着、3コーナー辺りから早めに進出したのが良かったのかどうか、レインボーラインが5着と掲示板を確保しました。

 

サトノクラウンは、どうしても走る時と走らない時の差が激しくて狙い時が難しいですが、その能力値の高さを改めて示しましたね。

状態がどうかなと思っていたのですが、お見事でした。

凱旋門賞に追加登録なんて話も出てきているようですが、既に海外でも結果を残していますし、凱旋門賞は置いておいても、秋に向けてどんなローテーションを選ぶのか、注目です。

 

個人的に嬉しかったのは、2着に頑張ったゴールドアクター。

今回、恐らく短期放牧(外厩)には出さずに調整してきたのだと思うのですが、予想記事でも触れたとおり、陣営の工夫や熱意が結果となった形で、こうゆうのはオジサンにとって嫌いじゃないです(笑)。

再びGⅠを勝つチャンスとなると、暮れの有馬記念でもうワンチャン有るか無いかというところかなと思いますが、今回も恐らく標的にしていたキタサンブラックは「負かした」訳で、良かったのではないでしょうか。

 

3着のミッキークイーンも、やはり「右回り×中距離」なら牡馬に混じっても戦えることがはっきりしました。

秋はエリザベス女王杯が目標かと思いますが、当然中心でしょう。

 

キタサンブラックに関しては、もとより凱旋門賞挑戦に消極的だったオーナーサイドの背中を押すには、ここでの勝利と2億円のボーナスが必須だったわけで、レース後すぐに、凱旋門賞断念の意向が表明されました。

宝塚記念に勝たなければ挑戦できないと言うのもなんだかダビスタみたいな話ですが、こればかりはファンが無理強いするわけにもいかず、尊重するしかないですよね。

 

幸い故障等ではないようですし、あの天皇賞(春)の1、2着馬がスピリッツミノルにも先着を許したことから分かるように(失礼・・・)、懸念していた「見えない疲れ」以外に敗因は無いでしょう。

「包囲網」を跳ね返すだけの状態にはなかったということで、そこを読みきった方はお見事でした。

私は、懸念しながらもキタサンブラックなら大丈夫と信じて本命にしたわけで、その点には悔いがありません。

いずれにしてもサトノクランを消してしまった時点で、私にはノーチャンスの競馬でした。。。

 

さて、これでJRAの上半期GⅠも締めくくり、来週からは夏競馬に入りますが、その前に。

有馬記念の後に東京大章典があるように、明日28日には帝王賞が控えていますね。

 

明日、新馬戦の回顧と一緒に簡単な予想記事もアップする予定です。

 

それでは、本日も最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。